通信サービスセクターETFの「XLC」を紹介します。
米国株のセクター分類
米国株は世界産業分類基準(GICS)を使って11種の産業セクターに分類できます。
GICSは、S&Pダウジョーンズインデックスとモルガン・スタンレーが作成した産業分類です。
米国株の産業セクター11種
一般消費財、エネルギー、金融、情報技術、公益事業、資本財、生活必需品、素材、ヘルスケア、不動産、通信サービス
各産業セクターの代表的な企業を以下に示します。
セクター | 代表的な企業 |
一般消費財(Consumer Discretionary) | アマゾン・ドットコム、テスラ、ホーム・デポ |
エネルギー(Energy) | エクソンモービル、シェブロン、コノコフィリップス |
金融(Financials) | バークシャー・ハサウェイ、JPモルガンチェース |
情報技術(Information Technology) | アップル、マイクロソフト、エヌビディア |
公共事業(Utilities) | ネクステラ・エナジー、デューク・エナジー、サザン |
資本財(Industrials) | ハネウェルインターナショナル、ユナイテッドパーセルサービス |
生活必需品(Consumer Staples) | プロクター&ギャンブル、ペプシコ、コカコーラ |
素材(Materials) | Linder PLC、シャーウィン・ウィリアムス |
ヘルスケア(Health Care) | ジョンソン・エンド・ジョンソン、ユナイテッド・ヘルス・グループ |
不動産(Real Estate) | アメリカン・タワー、プロロジス |
通信サービス(Communication Services) | フェイスブック、アルファベット、ネットフリックス |
S&P500の産業セクター別構成比
S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成され、米国大型株の株価動向を表す指数として広く認められています。
S&P500の産業セクター別構成比は以下の通りです。
通信サービスセクターはS&P500の構成銘柄の約11.48%を占めるセクターです。
通信サービスセクター
通信サービスセクターには、人々のコミュニケーションを促進する通信サービス企業や、情報やコンテンツを提供するメディア企業、娯楽を提供するエンターテイメント企業が含まれます。
<通信サービス企業の代表例>
ベライゾン、AT&T、T-モバイル
<メディア企業の代表例>
フェイスブック、アルファベット、ネットフリックス
<エンターテイメント企業の代表例>
ネットフリックス、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー
この他にもテレビ番組やケーブルテレビ、ビデオストリーミングなどの事業を持つ企業が分類されています。
XLCの特徴
XLCはS&P500インデックスに含まれる米国大型企業の中から、通信サービスセクターに分類される企業のみを構成銘柄としたETFです。
特徴 | XLC(通信サービスセクターETF) |
発行元 | ステート・ストリート社 |
設定日 | 2018年6月 |
ベンチマーク | コミュニケーション・サービス・セレクト・セクター指数 |
組入れ銘柄数 | 26銘柄 |
ファンド資産 | 約158億ドル |
経費率 | 0.12% |
直近配当利回り | 0.71% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-communication-services-select-sector-spdr-fund-xlc(21年9月19日公開データから引用)
XLCに含まれる企業の業種別構成比は以下の通りです。
XLCの構成銘柄
銘柄 | シンボル | 構成比率 | |
1 | フェイスブック | FB | 23.57% |
2 | アルファベット クラスA | GOOGL | 13.21% |
3 | アルファベット クラスC | GOOG | 12.58% |
4 | ネットフリックス | NFLX | 4.78% |
5 | チャーターコミュニケーション | CHTR | 4.64% |
6 | ウォルトディズニー | DIS | 4.59% |
7 | コムキャスト | CMCSA | 4.41% |
8 | ベライゾンコミュニケーション | VZ | 4.24% |
9 | AT&T | T | 4.19% |
10 | T-モバイル | TMUS | 3.87% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-communication-services-select-sector-spdr-fund-xlc(21年9月19日公開データから引用)
フェイスブック(FB)とアルファベット(Google)が約50%を占めています。
FBやGoogle、ネットフリックスなどのネット関連企業は情報技術セクターに分類されていそうですが、実は通信サービスセクターに含まれています。
構成比率は低いですがツイッターなどのソーシャルメディア企業も通信サービスセクターに分類されます。
XLCの株価動向
ETFが設定された2018年6月からの株価チャートです。
2020年3月にコロナショックによる暴落がありましたが、その後は株価が約2倍にまで上昇しています。
XLCの約50%はフェイスブックとアルファベットで構成されているため、この2社の株価動向の影響を大きく受けます。
フェイスブックの株価チャート
XLCの株価チャートとほぼ同じ株価動向であることが分かります。
アルファベットの株価チャート
こちらもXLCと同じ株価動向ですが、株価の上がり幅はXLCやフェイスブックよりも大きいです。コロナショック時から約2.8倍にまで上昇しています。
セクター別ETFの騰落率
ステートストリート社のセクター別ETF11種の年初来パフォーマンスを以下に示します。
セクター | ETF名 | 年初来騰落率 |
不動産 | XLRE | 32.42% |
エネルギー | XLE | 29.93% |
金融 | XLF | 29.23% |
通信サービス | XLC | 25.06% |
素材 | XLB | 25.06% |
情報技術 | XLK | 21.56% |
ヘルスケア | XLV | 17.75% |
資本財 | XLI | 16.11% |
一般消費財 | XLY | 15.49% |
公益事業 | XLU | 8.64% |
生活必需品 | XLP | 6.95% |
S&P500 | SPY | 19.69% |
※2021年9月17日終値ベースの株価を元に年初来騰落率を算出
2021年は全セクターでプラスリターンでしたが、通信サービスセクターは+25%の大きなプラスリターンを記録し、S&P500のリターンよりも優れていました。
投資家はXLCを購入することで、ポートフォリオ中の通信サービスセクターの構成比を上げることができます。
まとめ
XLCはS&P500インデックスに含まれる米国大型企業の中から、通信サービスセクターに分類される企業のみを構成銘柄としたETFです。
フェイスブック(FB)とアルファベット(Google)が約50%を占めていることが特徴です。
「ネット系企業への投資比率を高めたい方」や「通信サービスセクターの企業へ分散投資したい方」におすすめのETFと言えます。
では!