不動産セクターETFの「XLRE」を紹介します。
米国株のセクター分類
米国株は世界産業分類基準(GICS)を使って11種の産業セクターに分類できます。
GICSは、S&Pダウジョーンズインデックスとモルガン・スタンレーが作成した産業分類です。
米国株の産業セクター11種
一般消費財、エネルギー、金融、情報技術、公益事業、資本財、生活必需品、素材、ヘルスケア、不動産、通信サービス
各産業セクターの代表的な企業を以下に示します。
セクター | 代表的な企業 |
一般消費財(Consumer Discretionary) | アマゾン・ドットコム、テスラ、ホーム・デポ |
エネルギー(Energy) | エクソンモービル、シェブロン、コノコフィリップス |
金融(Financials) | バークシャー・ハサウェイ、JPモルガンチェース |
情報技術(Information Technology) | アップル、マイクロソフト、エヌビディア |
公共事業(Utilities) | ネクステラ・エナジー、デューク・エナジー、サザン |
資本財(Industrials) | ハネウェルインターナショナル、ユナイテッドパーセルサービス |
生活必需品(Consumer Staples) | プロクター&ギャンブル、ペプシコ、コカコーラ |
素材(Materials) | Linder PLC、シャーウィン・ウィリアムス |
ヘルスケア(Health Care) | ジョンソン・エンド・ジョンソン、ユナイテッド・ヘルス・グループ |
不動産(Real Estate) | アメリカン・タワー、プロロジス |
通信サービス(Communication Services) | フェイスブック、アルファベット、ネットフリックス |
S&P500の産業セクター別構成比
S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成され、米国大型株の株価動向を表す指数として広く認められています。
S&P500の産業セクター別構成比は以下の通りです。
不動産セクターはS&P500の構成銘柄の約2.62%を占める小さなセクターです。
XLREの特徴
XLREはS&P500インデックスに含まれる米国大型企業の中から、不動産セクターに分類される企業やリートを構成銘柄としたETFです。
リート(REIT)とは
「Real Estate Investment Trust」の略称で、日本では 「不動産投資信託」を指します。
不動産セクターには、米国の不動産管理や開発を行う企業やリートが分類されます。
特徴 | XLRE(不動産セクターETF) |
発行元 | ステート・ストリート社 |
設定日 | 2015年10月 |
ベンチマーク | 不動産・セレクト・セクター指数 |
組入れ銘柄数 | 29銘柄 |
ファンド資産 | 約45億ドル |
経費率 | 0.12% |
直近配当利回り | 2.19% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-communication-services-select-sector-spdr-fund-xlc(21年9月19日公開データから引用)
XLREの構成銘柄
銘柄 | シンボル | 構成比率 | |
1 | アメリカンタワー | AMT | 13.55% |
2 | プロロジス | PLD | 9.83% |
3 | クラウン・キャッスル | CCI | 8.20% |
4 | エクイニクス | EQIX | 7.66% |
5 | パブリック・ストレージ | PSA | 4.84% |
6 | デジタル・リアルティ・トラスト | DLR | 4.42% |
7 | サイモン・プロパティー・グループ | SPG | 4.36% |
8 | SBAコミュニケーションズ | SBAC | 3.89% |
9 | ウェルタワー | WELL | 3.67% |
10 | CBREグループ | CBRE | 3.27% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-real-estate-select-sector-spdr-fund-xlre(21年9月19日公開データから引用)
不動産セクターには日本で有名な企業は含まれていませんが、特色ある企業が多いです。
上位構成銘柄である「アメリカンタワー」と「プロロジス」について簡単に紹介します。
アメリカン・タワーの紹介
アメリカンタワーは「電波塔」を所有・運営するリートであり、この分野では米国最大手です。
AT&TやTモバイルなどの無線通信事業者に電波塔をリースしており、このリース契約は通常5~10年の長期間で結び、解約率は2%程度と低いことが特徴です。
電波塔は代替を見つけにくく、切替えコストも高いため、解約率が非常に低くなります。
一度契約を結べれば独占的な事業が可能な分野であるため、最大手のアメリカンタワーは長期的に強い競争力を維持できる長期投資に向いた銘柄です。
アメリカンタワーの株価チャート
プロロジスの紹介
プロロジスは、eコマースや企業間(B-to-B)向けの倉庫やロジスティクスを管理する大手リート銘柄です。
世界19ヶ国で事業を展開し、アマゾン、ホームデポ、フェデックスなども取引先になっています。
コロナ禍でeコマース需要は急増しており、eコマース向けロジスティクスの事業には追い風が吹いています。現在の時流に乗っている銘柄と言えます。
プロロジスの株価チャート
XLREの株価動向
直近5年間の株価チャートです。
2020年3月にコロナショックによる大暴落がありました。
しかし、その後株価が急回復し、現在は昨年3月の高値を大きく超えています。
不動産セクターの銘柄は経済危機時に叩き売られる傾向があります。
安易に購入することなく、買い時を慎重に待って投資することが必要なセクターです。
セクター別ETFの騰落率
ステートストリート社のセクター別ETF11種の年初来パフォーマンスを以下に示します。
セクター | ETF名 | 年初来騰落率 |
不動産 | XLRE | 32.42% |
エネルギー | XLE | 29.93% |
金融 | XLF | 29.23% |
通信サービス | XLC | 25.06% |
素材 | XLB | 25.06% |
情報技術 | XLK | 21.56% |
ヘルスケア | XLV | 17.75% |
資本財 | XLI | 16.11% |
一般消費財 | XLY | 15.49% |
公益事業 | XLU | 8.64% |
生活必需品 | XLP | 6.95% |
S&P500 | SPY | 19.69% |
※2021年9月17日終値ベースの株価を元に年初来騰落率を算出
2021年はすべてのセクターでプラスリターンとなっていますが、その中でも不動産セクターは+32%のプラスリターンを記録しており、S&P500の19%よりも圧倒的に優れていました。
2021年はXLREを購入して不動産セクターの比率を高める戦略が有効だった年と言えます。
まとめ
XLREはS&P500インデックスに含まれる米国大型企業の中から、不動産セクターに分類される企業のみを構成銘柄としたETFです。
2021年は不動産セクターが一番リターンの高いセクターでした。
米国の不動産関連企業やリートへの投資比率を高めたい方におすすめのETFと言えます。
では!
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