ロシア国内の大企業にインデックス投資できるETF「ERUS」を紹介します。
現在のウクライナ情勢の悪化でロシア株は急落しており、逆張り投資を狙える可能性があります。
皆さんはロシアに投資するアイデアについてどう思いますか?
ERUSの概要
iシェアーズ MSCI ロシアETF(ERUS)は、ロシア企業で構成された株価指数に投資するETFです。MSCIロシア25/50インデックス指数の株価と利回りに連動します。
日本投資家がロシア企業へ直接投資することは難しいですが、この銘柄1つでロシア国内の大型企業に対して分散投資することができます。
銘柄 | ERUS(ロシアETF) |
発行元 | ブラックロック社 |
設定日 | 2010年11月 |
ベンチマーク | MSCIロシア25/50インデックス指数 |
組入れ銘柄数 | 26銘柄 |
ファンド資産 | 約5.1億ドル |
経費率 | 0.57% |
直近配当利回り | 5.39% |
引用元:https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/239677/ishares-msci-russia-capped-etf(22年2月6日公開データから引用)
ロシアの特徴
ロシアは広大な領土を持ち、石油や天然ガスといった天然資源に恵まれた資源大国です。
国家収入の大部分は石油・天然ガスの輸出に頼っているため、原油価格が国内経済に大きな影響を与えます。
また、政治面でも安定しているとは言えず、プーチン大統領を中心とする独特の政治体制です。
近年では2014年の「ウクライナのクリミヤ半島併合」や「シリア内戦への介入」などの軍事行動がありました。直近2022年においては、ロシアのウクライナへの侵攻が現実味を帯びていることが報道されています。
過去、ロシアの軍事行動に対しては、欧米から経済制裁を課されることが続いており、その度にロシアの国内経済は混乱するため、決して安心できる投資先ではありません。
しかし、このような政治面や軍事面での政情不安を理由に、ロシア企業の株価は割安な水準で放置されることが多く、ロシアETF「ERUS」も常に割安な株価となっています。
政治と軍事の政情不安が解消され、かつ原油価格が高騰がするタイミングでは、ロシア企業の株価が急騰する傾向があるため、国際情勢を見極められる投資家にとって妙味のある上級者向けの投資対象国です。
ERUSの構成銘柄
ERUSの上位10銘柄の業種と構成比率をまとめました。
銘柄 | 業種 | 構成比率 | |
1 | ガスプロム(ZAZP) | エネルギー | 19.7% |
2 | ルクオイル(LKOH) | エネルギー | 14.5% |
3 | ロシア貯蓄銀行(SBER) | 金融 | 11.8% |
4 | ノリリスク・ニッケル(GMKN) | 素材 | 5.1% |
5 | ノヴァテク(NVTK) | エネルギー | 5.0% |
6 | Tatneft(TATN) | エネルギー | 4.2% |
7 | TCSグループホールディングス(TCSG) | 金融 | 3.7% |
8 | ロスネフチ(ROSN) | エネルギー | 3.6% |
9 | ヤンデックス(YNDX) | 通信 | 3.2% |
10 | ポリウス(PLZL) | 素材 | 2.7% |
引用元:https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/products/239677/ishares-msci-russia-capped-etf(22年2月6日公開データから引用)
1位 ガスプロム
世界最大のガス会社であり、ロシア政府が50%以上の株式をもつ半官半民の企業です。ロシアのガスパイプラインを支配しており、生産したガスをヨーロッパや旧ソ連圏諸国に輸出しています。ロシアの国内総生産(GDP)の1割前後を稼ぎ出すロシア最大の企業です。
2位 ルクオイル
ロシア最大の原油生産量を誇る石油企業です。ロシア国内の西シベリアで主力事業を展開しているが、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタン、エジプト、コロンビア、イラク、サウジアラビア、イランでも石油・ガス開発プロジェクトを進める多国籍企業です。
3位 ロシア貯蓄銀行
ロシア国内の最大手の銀行です。1841年にロシア皇帝のニコライ1世によって設立された貯蓄銀行を起源とする名門銀行であり、現在ロシア人の約70%が同銀行のサービスを利用している。独自の暗号資産(仮想通貨)の開発も進めている。
ERUSの産業セクター別構成比
ロシアETFを構成する26銘柄の産業産業セクター別構成比は以下の通りです。
ロシア国内の豊富な資源を生かしたエネルギーや素材の銘柄が約70%を占めます。
そのためERUSは原油価格と資源価格の推移に大きく影響を受けます。
現在の原油価格やコモディティ資源価格の高騰はERUSの株価にとって有利な環境と言えます。
ERUSの株価動向
ERUSの長期株価チャートです。
ERUSは2010年からの設定来ではマイナスリターンですが、直近のコロナ禍以降では資源価格(原油・素材)の高騰からERUSの株価も急騰していました。
しかし、2021年後半からウクライナ情勢が悪化するにつれて株価は急落しています。
資源価格の高騰によって株価が上昇し、軍事行動によって株価が下落するという、いかにもロシアらしい値動きとなっていますが、今後この軍事的な緊張が緩和されることがあれば、資源価格の高止まりによって再び株価が高騰する可能性が考えられます。
ロシアとしても、欧米からの経済制裁を受けることで経済へのダメージを受けてしまうため、常に軍事的な緊張を高めたままにすることはできず、どこかのタイミングで緊張緩和に動く必要があります。
多くの人が嫌煙する銘柄は逆張り投資を行う最適な銘柄となることを考えると、ERUSには逆張り投資を行うチャンスが到来していると言えるのではないでしょうか。
まとめ
iシェアーズ MSCI ロシアETF(ERUS)は、ロシア企業で構成された株価指数に投資するETFであり、MSCIロシア25/50インデックス指数の株価と利回りに連動する。
ロシアの政治面や軍事面での政情不安を理由に、ロシア企業の株価は割安な水準で放置されることが多い。
今後、ウクライナでの軍事的な緊張が緩和されれば、再び株価が高騰する可能性が考えられる。
では!