素材セクターETFの「XLB」を紹介します。
米国株のセクター分類
米国株は世界産業分類基準(GICS)を使って11種の産業セクターに分類できます。
GICSは、S&Pダウジョーンズインデックスとモルガン・スタンレーが作成した産業分類です。
米国株の産業セクター11種
一般消費財、エネルギー、金融、情報技術、公益事業、資本財、生活必需品、素材、ヘルスケア、不動産、通信サービス
各産業セクターの代表的な企業は以下の通りです。
セクター | 代表的な企業 |
一般消費財(Consumer Discretionary) | アマゾン・ドットコム、テスラ、ホーム・デポ |
エネルギー(Energy) | エクソンモービル、シェブロン、コノコフィリップス |
金融(Financials) | バークシャー・ハサウェイ、JPモルガンチェース |
情報技術(Information Technology) | アップル、マイクロソフト、エヌビディア |
公益事業(Utilities) | ネクステラ・エナジー、デューク・エナジー、サザン |
資本財(Industrials) | ハネウェルインターナショナル、ユナイテッドパーセルサービス |
生活必需品(Consumer Staples) | プロクター&ギャンブル、ペプシコ、コカコーラ |
素材(Materials) | Linder PLC、シャーウィン・ウィリアムス |
ヘルスケア(Health Care) | ジョンソン・エンド・ジョンソン、ユナイテッド・ヘルス・グループ |
不動産(Real Estate) | アメリカン・タワー、プロロジス |
通信サービス(Communication Services) | フェイスブック、アルファベット、ネットフリックス |
S&P500の産業セクター別構成比
S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成され、米国大型株の株価動向を表す指数として広く認められています。
S&P500の産業セクター別構成比は以下の通りです。
素材セクターはS&P500の構成銘柄の約2.54%を占める非常に小さなセクターです。
素材セクター
素材セクターは、化学メーカーや天然資源(金属・鉱山)、包装、建設資材に関連する企業で構成されています。
<化学メーカーの代表例>
シャーウィン・ウィリアムズ、ダウ、デュポン
<天然資源企業の代表例>
フリーポート・マクモラン、ニューモント・マイニング
<包装企業の代表例>
ボール(BLL)、インターナショナルペーパー
<建設資材企業の代表例>
バルカン・マテリアルズ
素材セクターの企業は企業向け(B to B)の素材を扱うため、日本で有名な企業銘柄が少ないですが、企業買収が盛んなセクターであるため企業規模の大きな銘柄が多いことが特徴です。
XLBの特徴
XLBはS&P500に含まれる米大型企業の中から、素材セクターに分類される企業を構成銘柄としたETFです。
特徴 | XLB(素材セクターETF) |
発行元 | ステート・ストリート社 |
設定日 | 1998年12月 |
ベンチマーク | 素材・セレクト・セクター指数 |
組入れ銘柄数 | 28銘柄 |
ファンド資産 | 約749億ドル |
経費率 | 0.12% |
直近配当利回り | 1.72% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-communication-services-select-sector-spdr-fund-xlb(21年10月3日公開データから引用)
XLBを構成する企業の事業別構成比は以下の通りです。
素材セクターは化学メーカーが約69%を占めています。
XLBの構成銘柄
上位10銘柄のティッカーシンボルと構成比率をまとめました。
銘柄 | シンボル | 構成比率 | |
1 | リンデ | LIN | 16.70% |
2 | シャーウィン・ウィリアムズ | SHW | 7.47% |
3 | エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ | APD | 6.25% |
4 | ェコラボ | ECL | 5.72% |
5 | フリーポート・マクモラン | FCX | 5.26% |
6 | ニューモント・マイニング | NEM | 4.78% |
7 | ダウ | DOW | 4.73% |
8 | デュポン・ド・ヌルーム | DD | 3.92% |
9 | PPGインダストリーズ | PPG | 3.74% |
10 | インターナショナル・フレーバー&フレグランス | IFF | 3.67% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-real-estate-select-sector-spdr-fund-xlb(21年10月3日公開データから引用)
XLBは「リンデ」1銘柄で約16%を占めており、上位10銘柄で約62%を構成しています。
リンデについて簡単に紹介します。
リンデの概要と株価チャート
米国のプラクセアーとドイツのリンデが合併して生まれた世界最大級の産業用ガス会社です。
酸素や窒素、ヘリウム、水素などの各種ガスを製造・供給しています。
特に水素ガスは、燃料電池用のCO2を排出しないクリーン燃料として注目の成長産業であり、リンデは水素タンクや液体水素製造プラントを手がける企業として世界中にビジネスを広げています。
リンデの株価チャートは長期的に右肩上がりのチャートであり、経済危機でも大きな下落がない優良銘柄です。
XLBの株価動向
XLBの長期株価チャートです。
素材セクターはBtoBのビジネスが中心の企業で構成されるため、株価は世界経済と深く関係します。
特に経済危機が発生すると株価が暴落し、世界の景気が良い時期は大きく上昇する傾向があります。
直近のコロナショックでも株価が大きく下落しましたが、現在は最高値を大きく超える水準まで上昇しています。
セクター別ETFの騰落率(2021年度)
ステートストリート社から発行されているセクター別ETF11種の年初来騰落率を以下に示します。
セクター | ETF名 | 年初来騰落率 |
エネルギー | XLE | 41.83% |
金融 | XLF | 31.19% |
不動産 | XLRE | 26.99% |
通信サービス | XLC | 22.53% |
情報技術 | XLK | 18.51% |
資本財 | XLI | 14.78% |
一般消費財 | XLY | 13.41% |
ヘルスケア | XLV | 12.73% |
素材 | XLB | 12.09% |
公益事業 | XLU | 4.52% |
生活必需品 | XLP | 3.45% |
S&P500 | SPY | 17.75% |
※2021年10月1日終値の株価から年初来騰落率を算出
素材セクターETFの年初来騰落率は+12.09%であり、S&P500をパフォーマンスよりも低いセクターでした。
歴史的に素材セクターがアウトパフォームするのは、景気が加速するタイミングです。
2022年は米バイデン大統領による巨額インフラ整備法案の可決・実施が見込まれており、XLBの構成銘柄に有利な状況になります。
長期保有だけでなく、短期的に素材セクターへの投資比率を上げたい場合にもおすすめのETFです。
まとめ
XLBはS&P500インデックスに含まれる米国大型企業の中から、素材セクターに分類される企業のみを構成銘柄としたETFです。
素材セクターはBtoBのビジネスが中心の企業で構成されるため、世界の景気が良い時期は大きく上昇する傾向があります。
素材セクターへの投資比率を上げたい方におすすめのETFです。
では!