投資の神様と呼ばれているウォーレンバフェットをご存じでしょうか?
バフェットは長期的に成長する企業を見極め、その株式を長期保有することで巨額の利益を稼ぎ出しています。
この記事では、バフェットが会長を務める投資会社バークシャーハサウェイの保有銘柄を紹介します。
この記事はこういった人に向けて書いている記事です。
こんな方におすすめ
- バフェットの最新の保有銘柄を参考にしたい
- バフェットが購入銘柄と売却銘柄を知りたい
- バークシャー社の保有銘柄をマネする戦略を考えている
【最新】バークシャーハサウェイの保有銘柄(上位20銘柄)
バークシャーハサウェイ(以下、バークシャー社)の保有銘柄をまとめました。
現在公開されている最新の情報は「22年第1四半期」時点の保有銘柄です。
保有銘柄 | 業種 | 投資額 | 構成比率 |
アップル | 通信技術 | 約19.8兆円 | 42.79% |
バンクオブアメリカ | 銀行 | 約5.3兆円 | 11.45% |
アメリカンエクスプレス | カードローン | 約3.6兆円 | 7.80% |
シェブロン | エネルギー | 約3.3兆円 | 7.13% |
コカコーラ | 飲料 | 約3.1兆円 | 6.82% |
クラフト・ハインツ | 食品 | 約1.6兆円 | 3.53% |
ムーディーズ | 金融情報 | 約1.0兆円 | 2.29% |
オキシデンタル・ペトロリアム | エネルギー | 約9892億円 | 2.13% |
USバンコープ | 銀行 | 約8590億円 | 1.85% |
アクティビジョン・ブリザード | ゲーム | 約6587億円 | 1.42% |
ダヴィータ・ヘルスケア・パートナーズ | ヘルスケア | 約5219億円 | 1.12% |
ヒューレットパッカード | 電子機器 | 約4848億円 | 1.04% |
バンクオブニューヨークメロン | 銀行 | 約4591億円 | 0.99% |
クローガー | 小売り | 約4253億円 | 0.92% |
シティーバンク | 銀行 | 約3765億円 | 0.81% |
ベリサイン | 通信技術 | 約3644億円 | 0.78% |
ゼネラル・モータース | 自動車 | 約3469億円 | 0.75% |
パラマウント・グローバル | 通信サービス | 約3332億円 | 0.72% |
チャーターコミュニケーションズ | 通信サービス | 約2670億円 | 0.57% |
リバティーメディア | 通信サービス | 約2526億円 | 0.54% |
※1ドル=127.85円で計算(22年5月21日時点)
引用元:https://www.dataroma.com/m/holdings.php?m=BRK
バークシャー社の投資スタイルは、米国の優良個別銘柄への超集中投資です。
アップル1社への投資にポートフォリオ全体の約42%を当てています。
また、上位10銘柄への投資金額を合計すると全体の約87%となり、少数の銘柄に集中して投資していることが分かります。
バークシャー社が買った銘柄
バークシャー社が22年1Qに「新規購入」または「買い増し」した銘柄のリストを示します。
上位20銘柄の中で保有数量が増えた銘柄は以下の7銘柄です。
・アップル(APPL):+0.43%買い増し
⇒世界最大手の携帯電話・サブスクリプションサービスを扱う通信機器メーカー
・シェブロン(CVS):+316.21%買い増し
⇒石油メジャーと呼ばれる米国最大級のエネルギー会社
・オキシデンタル・ペトロリアム(OXY):新規購入
⇒米国内でシェールオイルの掘削・生産を行う大手エネルギー会社
・アクティビジョン・ブリザード(ATVI):+338.77%
⇒2022年にマイクロソフト傘下となった米国のゲームソフトウェア開発会社
・ヒューレッドパッカード(HP):新規購入
⇒米国の大手パソコン・プリンター製造メーカー
・シテイーグループ(C):新規購入
⇒米国の4大メガバンクの1角を担う銀行
・パラマウント・グローバル(PARA):新規購入
⇒米国のメディア・娯楽事業を扱う通信サービス会社
22年1Qの株式購入の特徴
バークシャー社は米国株の株高が進む中、コロナショック前から最近までは魅力的な投資先を見つけられず、巨額の現金を溜め込んでいました。
しかし、直近の22年1Qでは積極的な投資姿勢に変化しています。
特に「シェブロン」と「オキシデンタル・ペトロリアム」のエネルギー銘柄大手2社への投資を大きく増やしていることが特徴です。
バークシャー社には、もともと発電やエネルギー輸送を扱う子会社のバークシャーハサウェイエナジー社があり、エネルギー分野でのビジネス経験があることも、この投資判断に影響したと考えられます。
バフェットの狙いは、現在米国で進んでいるインフレへの対策として、自社製品への価格転嫁が容易な石油・天然ガスを扱うエネルギー企業に対して投資チャンスを見出していると思われます。
その他にはゲームソフト開発を手掛ける「アクティビジョンブリザード」にも大きく投資しています。
アクティビジョンブリザードは業績が安定してして、利益水準も非常に高い優良企業です。
2022年の株式市場は株価の大幅下落が頻発していますが、バフェットはそのような市場心理の悪いタイミングを待って、絶好のタイミングで優良企業の株式を購入していると考えられます。
バークシャー社が売却した銘柄
バークシャー社が22年1Qに「売却」した銘柄のリストを示します。
上位銘柄の中で売却した銘柄は以下の2銘柄です。
・ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ):-99.13%売却
⇒世界最大手の携通通信会社
・クローガー(KR):+5.58%売却
⇒米国の食品小売り会社
22年1Qの株式売却の特徴
「ベライゾン」と「クローガー」はコロナショック時の2020年から投資を増やしていた銘柄でしたが、22年1Qでは売却を進めています。
ベライゾンは5G通信の最大手として安定した業績と高配当を長年実現してきました。しかし、最近はライバル会社であるTモバイルとの競争が激化し、通信サービスのシェアが下がっています。
クローガーはコロナ禍で特需の恩恵を受けた食品スーパーですが、アフターコロナが進む現在では恩恵がなくなる銘柄です。
その他にも、コロナショック後に購入を進めていた「アッヴィー」や「ブリストルマイヤーズスクイブ」などの製薬会社への投資も売り抜けています。
現在は世界の在り方を大きく変えてしまったコロナ禍も終息が見え始めており、長期投資を標榜するバフェットであっても、世界の潮流の変化を敏感に察知して投資判断に反映させているようです。
最後に、長年バフェット銘柄として親しまれていたウェルズファーゴも完全に売却しています。2016年にクレジット不正発行のスキャンダルが発覚してからも、根気強く保有していた銘柄でしたが、ついにバフェットに見切られてしまいました。
ただし、銀行銘柄については「バンクオブアメリカ」「USバンコープ」「バンクオブニューヨークメロン」「シティ」といった多くの銀行銘柄を保有しているため、米銀行セクターへの期待は変わっていないと思われます。
バークシャー社の保有銘柄をマネする後追い戦略
では、我々個人投資家はバークシャー社の保有銘柄を同じ比率で買っていたら良いでしょうか?
先ほどの上位20銘柄について2022年度の年初来騰落率を調べました。
保有銘柄 | 業種 | 構成比率 | 年初来騰落率 |
アップル | 通信技術 | 42.79% | ー24.41% |
バンクオブアメリカ | 銀行 | 11.45% | ー26.68% |
アメリカンエクスプレス | カードローン | 7.80% | ー8.90% |
シェブロン | エネルギー | 7.13% | +40.72% |
コカコーラ | 飲料 | 6.82% | +2.83% |
クラフト・ハインツ | 食品 | 3.53% | +6.17% |
ムーディーズ | 金融情報 | 2.29% | ー24.59% |
オキシデンタル・ペトロリアム | エネルギー | 2.13% | +103.67% |
USバンコープ | 銀行 | 1.85% | ー14.07% |
アクティビジョン・ブリザード | ゲーム | 1.42% | +14.80% |
ダヴィータ・ヘルスケア・パートナーズ | ヘルスケア | 1.12% | ー18.19% |
ヒューレットパッカード | 電子機器 | 1.04% | ー8.86% |
バンクオブニューヨークメロン | 銀行 | 0.99% | ー25.19% |
クローガー | 小売り | 0.92% | +7.68% |
シティーバンク | 銀行 | 0.81% | ー21.16% |
ベリサイン | 通信技術 | 0.78% | ー34.33% |
ゼネラル・モータース | 自動車 | 0.75% | ー42.13% |
パラマウント・グローバル | 通信サービス | 0.72% | +1.24% |
チャーターコミュニケーションズ | 通信サービス | 0.57% | ー26.03% |
リバティーメディア | 通信サービス | 0.54% | ー17.62% |
(参考)S&P500 | インデックス | ー | ー18.66% |
引用元:https://www.dataroma.com/m/holdings.php?m=BRK(22年5月22日時点)
バークシャー社の保有銘柄の1位~3位はアップル・バンクオブアメリカ・アメリカンエクスプレスです。しかし、2022年に株価が大きく上昇しているのは「シェブロン」と「オキシデンタルペトロリアム」でした。
アップルは約24%のマイナスリターンです。その他の多くの銘柄も、2022年は大きなマイナスリターンとなっています。
つまり、バークシャー社のポートフォリオを単純にマネしても大きなリターンに繋がる訳ではないと言えます。
更に言うと、今回の情報から「シェブロン」や「オキシデンタル・ペトロリアム」を単純に購入しても、これらの銘柄はすでに株価が大きく上昇してしまっています。
今後バークシャー社が大量に売却する可能性も否定できないため、保有銘柄をマネする後追い戦略は非常に危険な戦略です。
あくまで、バークシャー社の保有銘柄の情報は参考情報として扱い、すべての鵜呑みにしないことが大切だと思います。
今回の記事のまとめ
バークシャー社の保有銘柄と売買の特徴をまとめて紹介しました。
長期的に優良企業への投資を得意とするバフェットですが、米国内でのインフレやコロナ禍の終息といった大きな潮流の変化を感じとり、保有銘柄にも変更を加えています。
また、ウェルズファーゴを完全に売却してしまうなど、今後の成長を期待できない銘柄はきっちりと売却しています。
個別銘柄の購入や売却のタイミングを見極めることは非常に難しいですが、バークシャー社の保有銘柄や売買記録は個人投資家にとって多くの学びがあります。
しかし、バークシャー社の保有銘柄を単純にマネする後追い戦略は本当に危険な戦略なので注意してください。あくまで、参考情報として受け取ることが大切だと思います。
さらに下位の銘柄の動向まで知りたい方は以下のサイト「DATAROMA」を参考にして下さい。
「DATAROMA」は英語サイトなので、見方が分からない方は以下の紹介記事をご覧ください。
過去のバークシャー社の保有銘柄に関する記事のリンクを以下に貼ります。
では!