米国株市場の動向
10月1日の米国株の主要3指数は、前日比でS&P500とナスダックが上昇し、ダウ平均は小さな上昇でした。
直近1カ月の騰落率はすべてマイナスですが、ダウ>S&P500>ナスダックの順となっています。
指数 | 10月1日終値 | 前日比 | 1ヶ月騰落率 | 年初来騰落率 |
S&P500 | 4,357.04 | 1.15% | -3.97% | 17.74% |
ナスダック総合 | 14,566.70 | 0.82% | -4.99% | 14.71% |
ダウ平均 | 34,326.46 | 0.10% | -3.15% | 13.57% |
ナスダックの勢いは完全に止まり、ここ1ヶ月では一番下落した指数となりました。
米金融緩和縮小(テーパリング)の開始時期が近づきつつあるため、悪影響の出やすい銘柄が多いナスダック指数は今後も低調になりそうです。
また、年初来騰落率を比較するとSP500銘柄の一人勝ちとなっています。
これは原油高によるエネルギー銘柄の上昇と、米国長期金利の上昇による金融銘柄の上昇が寄与していると考えられます。
S&P500のヒートマップ
S&P500銘柄の前日比ヒートマップです。
緑:上昇銘柄 赤:下落銘柄
10月1日の米国株市場は金融・エネルギーの2セクターで大きな株価上昇が見られました。
また、短期的に下落の続いていたビックテック銘柄は反発の上昇がありました。
・JPモルガンチェース(金融):前日比+2.10%/
・マスターカード(金融):前日比+3.60%
・エクソンモービル(エネルギー):前日比+3.59%
・マイクロソフト(情報技術):前日比+3.59%
個別銘柄では、モデルナが-11.37%の大暴落となり、メルクは+8.37%の急騰したことに注目しました。
関連するニュース記事のリンクを以下に添付します。
要約すると、製薬大手のメルクは、軽度または中等度のコロナウィルス感染患者に対し有効性が高いとされる治療薬を発見し、米国で緊急使用承認を申請する予定であることが報道されました。
現在もコロナ禍に怯える人類には非常に明るいニュースですが、ワクチン開発に携わる企業にとっては将来のワクチン需要が大きく減少する可能性があります。
特にモデルナなどのコロナワクチンを主力とするバイオテック企業は、各国政府からのワクチン摂取の推奨がなくなれば経営に大ダメージとなるため、このニュースによって株価暴落が発生しました。
ただし、現状ではワクチン摂取の推奨を中止する国はないため、今後も株価が下がり続けるようであれば、絶好の買い場となる可能性もあります。
主要指数のチャートまとめ
米国株の主要3指数の「直近1ヶ月間の株価チャート」と「VIX指数」をまとめました。
S&P500指数
直近の急落が発生した理由については、以下のニュース記事が参考となりますのでリンクを添付しました。
米国でのインフレや債務上限を巡る懸念が理由とされています。
ただ、10月は歴史的に株価のボラティリティが大きくなりやすい月と知られており、単純に月別のアノマリー通り相場が動いている分析することもできます。
私個人の資産運用については、9月~11月初旬までは追加投資しないことを戦略としているため、今後1ヶ月は相場を注視する期間となりそうです。
ナスダック総合指数
ナスダックもS&P500と同じ値動きですが、ナスダックの方が株価の下落が大きいです。
今後11月に予定されている米金融緩和縮小の開始までは、更なる急落もありえます。
ダウ工業株平均指数
ダウ平均指数はS&P500と同じ値動きですが、9月中旬の値下がりが大きかった分、直近の急落は比較的小さい値動きでした。
VIX指数
VIX指数は、恐怖心理にを反映する恐怖指数と呼ばれ、市場参加者が悲観的となっている時が、投資で利益の出しやすいタイミングとなります。
一般的にVIX指数が20以下で楽観的、30以上で悲観的と考えられています。
現在のVIX指数は約21と低いレベルなので市場はまだ楽観的であると言えます。
短期的にVIX指数は上昇しています。
昨年2020年も10月~11月にかけてVIX指数が30を超える局面があり、これが大きな買い場となっていましたので、今年も要注意の時期であると考えています。
私はVIX指数が一度30以上となり、その後低下する状況を確認できれば、投資を行っていいタイミングと判断します。
10月1日の米国株セクター別ETFの株価情報
S&P500を構成する11セクターに連動するETFの株価情報をまとめました。
前日比のパフォーマンス順に各セクターを並べています。
セクター | ETF名 | 10月1日終値 | 前日比 | 1ヶ月騰落率 | 年初来騰落率 |
エネルギー | XLE | 53.84 | 3.36% | 10.10% | 41.83% |
通信 | XLC | 81.46 | 1.70% | -4.69% | 22.53% |
金融 | XLF | 38.15 | 1.65% | -0.42% | 31.19% |
素材 | XLB | 80.37 | 1.59% | -6.48% | 12.09% |
情報技術 | XLK | 151.57 | 1.51% | -4.51% | 18.51% |
資本財 | XLI | 99.18 | 1.37% | -5.75% | 14.78% |
不動産 | XLRE | 44.93 | 1.08% | -7.80% | 26.99% |
一般消費財 | XLY | 180.80 | 0.75% | -1.54% | 13.41% |
生活必需品 | XLP | 69.02 | 0.26% | -5.35% | 3.45% |
ヘルスケア | XLV | 127.33 | 0.02% | -6.85% | 12.73% |
公益事業 | XLU | 65.14 | 0.00% | -8.83% | 4.52% |
S&P500 | SPY | 434.24 | 1.19% | -4.18% | 17.75% |
※ステートストリート社発行のETF銘柄情報を記載
エネルギーセクターの上昇が非常に大きくなっており、年初来騰落率では圧倒的なパフォーマンスを誇っています。
クリーンエネルギーやESG投資の台頭によって、斜陽産業と見られているセクターですが、昨年の原油価格暴落時にエネルギー銘柄へ投資できた方は大きな利益を得ているのではないでしょうか。
また、金融セクターも米長期金利の復調によってパフォーマンスの良いセクターです。
一方、一番気をつけなければいけないセクターは「不動産セクター」です。
このセクターはこれまで非常に好調でしたが、米金融緩和縮小のニュースが出てからピークアウトし、株価の下落傾向が見え始めています。
特に不動産セクターの個別銘柄を保有する投資家に取っては、利益確定のタイミングなのではないでしょうか。
1ヶ月騰落率と年初来騰落率は長期的な株価の値動きを追えるので、日々の株価の変化をセクター別でウォッチしておくと、米国株の大局的な動向を掴みやすいと思います。
では!