会社員投資家のひよこです。
世界第3位の小売企業であるコストコ・ホールセール社を紹介します。
この記事は、過去記事「投資信託「長期厳選投資おおぶね」のポートフォリオ分析①」の続きとなります。過去記事も併せて読んで頂けると理解が深まると思います。
投資信託「長期厳選投資おおぶね」のポートフォリオ分析①
コストコホールセール社とは
コストコホールセール(Costco Wholesale Corporation)はアメリカの会員制倉庫型小売会社です。業態は日本のスーパーマーケットやドラッグストアと似ていますが、食料品や化粧品、ヘルスケア用品だけでなく、電化製品・衣類・眼鏡・スポーツ用品・自動車用品など幅広い製品を大幅な値引き価格で販売しています。
コストコの特徴は「倉庫型店舗」と「有料会員制度」の2点です。
まず「店舗」は巨大な倉庫の中に作り、入荷した製品をそのままフォークリフトで並べて販売することで、従来商品管理や陳列に要していた手間とコストを徹底的に抑え、低価格での販売を可能としています。
■アメリカ-ミシシッピ州-リッジランドのコストコ店舗写真
■コストコ店舗内の写真
次に「有料会員制度」については、コストコの主な利益源は商品の販売からでなく、有料会員からの会費が利益の約7割を占める独特な事業モデルが特徴です。コストコに入店するには有料会員となる必要があり、この会員だけが製品を原価に近い価格で購入できます。
つまり、巨大な倉庫で買い物をするワクワク感であったり、圧倒的に安い値段で購入する満足感を提供することで、有料会員から会費を獲得する事業を展開しています。
日本でコストコに近い業態を探すなら、モノ売るスーパーや百貨店よりも、体験を売るディズニーランドのような遊園地に近いビジネスモデルに感じます。
コストコの事業エリア
コストコ店舗は全世界で803店に拡大しており、先進国を中心に世界中で出店を続けています。アメリカで成功したコストコ独自の事業モデルが、他の国でも受け入れられるかが今後のポイントです。
株価チャート
長期の株価チャート
コストコは世界でも最も成功している会社の一つであり、長期的な株価も右肩上がりで上昇しています。アメリカ発祥の企業なので、普通の個人投資家は20年前に投資することは不可能ですが、日本に初出店した1999年からでもテンバガー銘柄です。
直近5年間の株価チャート
直近5年間の株価チャートでも、株価は右肩上がりで大きく上昇しています。昨年のコロナショックからは、レストランや外部施設が閉鎖されて自宅での食事が増え、食料品を売るコストコには特需となっています。株価の大きな下落もなく、順調に上昇を続けています。
業績推移
コストコの直近の売上高は約1,668億ドルで、日本円換算では約18.3兆円です(執筆時為替レートから計算:109.57円/ドル)。売上高と利益は毎年順調に伸ばしており、文句の付けようがない業績です。
一方で、利益率は以外にも非常に低いことが特徴です。これは主な売上高の構成が製品販売と会員費であるのに対し、利益の大部分は会員費から得ているためです。モノを原価に近い価格で安売りするコストコの事業モデルが業績に表れています。
だたし、利益額は約40億ドル(約4,382億円)なので、毎年安定して巨額の利益を稼ぎ出す超優良企業です。
(セブンアンドアイホールディングス社2020年利益額:約2,181億円、同社IR資料より)
配当金
直近の年間配当利回りは0.71%です。(Investing.comデータから引用)
投資アイデア
私の考え方や投資アイデアを紹介します。
この銘柄は、農林中金バリューインベストメンツ株式会社の投資信託である「 農林中⾦〈パートナーズ〉おおぶねグローバル(⻑期厳選) 」の上位構成銘柄に入っていたことから調査しました。
(以下、「長期厳選投資おおぶね」と記載します)
長期厳選投資おおぶねの構成銘柄Top10
企業名 | 国 | 組入比率 | |
1 | 3M | アメリカ | 4.3% |
2 | テキサス・インスツルメンツ | アメリカ | 4.1% |
3 | アトラスコプコ | スウェーデン | 4.1% |
4 | ベリスク・アナリティクス | アメリカ | 4.0% |
5 | マコーミック | アメリカ | 4.0% |
6 | シャーウィン・ウィリアムズ | アメリカ | 4.0% |
7 | エルメス・インターナショナル | フランス | 3.9% |
8 | ラショナル | ドイツ | 3.9% |
9 | コストコホールセール | アメリカ | 3.9% |
10 | ギーネリッツ | スイス | 3.9% |
※2021年3月末月次運用レポートから自己作成
長期厳選投資おおぶねは優良企業へ長期的に投資する方針です。ファンドのHPには投資対象を「構造的に強靭な企業」と定義し、その特徴を3つ挙げています。
①付加価値の高い事業
⇒問題を解決することで高い収益を上げている事業であること
②圧倒的な競争優位性
⇒他社が真似できない高い技術や独自サービスを持っていること
③長期的な潮流
⇒人口や環境など変化によって長期的に市場が拡大する分野の事業であること
コストコは「①付加価値」「②競争優位性」に特徴があると考えています。倉庫型店舗と有料会員制度を組み合わせた独自の事業モデルを構築し、消費者のワクワク感や満足感という付加価値を生み出すとともに、その事業のオペレーション力を磨くことで他社が同じクオリティーで真似できない競争優位性を発揮しています。
今後の業績は、世界人口の増加という「③長期的な潮流」に乗るために、新興国を含めた全世界でコストコの事業を拡大し続けられるかがポイントになります。
コストコホールセールに投資すべきと思うか
私がこれからコストコ株に投資するかと問われると、「投資しない」と判断します。
その理由は、コストコの今後の成長性について判断ができないからです。
同社の直近の株価収益率は45倍であり、現在の利益額に対して非常に割高な株価です(Googlefinanceデータから引用) 。同社の株価が更に上昇するには、利益額を順調に成長させていく必要があります。
現在の事業モデルは先進国で受け入れられましたが、更に事業を成長させるには新興国を中心とした新しい国にも店舗を普及させなければいけません。私には「この事業モデルが新しい国でも受け入れられるか」について、確実な判断ができないため上記の結論に至りました。
まとめ
長期厳選投資おおぶねの上位構成銘柄「コストコホールセール」を分析しました。
私は自分の投資ルールとして、「現在の状況が未来にも続くと仮定した投資をしない」と決めているので、コストコへ投資しないと判断しています。
しかし、毎年安定して巨額の利益を生む超優良企業であるのは事実です。正直に話すと、今後も株価が上昇し続けるのではないかと思うこともあります。笑
皆さんの投資判断はいかがでしょうか?
では!