生活必需品セクターETFの「XLP」を紹介します。
米国株のセクター分類
米国株は世界産業分類基準(GICS)を使って11種の産業セクターに分類できます。
GICSは、S&Pダウジョーンズインデックスとモルガン・スタンレーが作成した産業分類です。
米国株の産業セクター11種
一般消費財、エネルギー、金融、情報技術、公益事業、資本財、生活必需品、素材、ヘルスケア、不動産、通信サービス
各産業セクターの代表的な企業は以下の通りです。
セクター | 代表的な企業 |
一般消費財(Consumer Discretionary) | アマゾン・ドットコム、テスラ、ホーム・デポ |
エネルギー(Energy) | エクソンモービル、シェブロン、コノコフィリップス |
金融(Financials) | バークシャー・ハサウェイ、JPモルガンチェース |
情報技術(Information Technology) | アップル、マイクロソフト、エヌビディア |
公益事業(Utilities) | ネクステラ・エナジー、デューク・エナジー、サザン |
資本財(Industrials) | ハネウェルインターナショナル、ユナイテッドパーセルサービス |
生活必需品(Consumer Staples) | プロクター&ギャンブル、ペプシコ、コカコーラ |
素材(Materials) | Linder PLC、シャーウィン・ウィリアムス |
ヘルスケア(Health Care) | ジョンソン・エンド・ジョンソン、ユナイテッド・ヘルス・グループ |
不動産(Real Estate) | アメリカン・タワー、プロロジス |
通信サービス(Communication Services) | フェイスブック、アルファベット、ネットフリックス |
S&P500の産業セクター別構成比
S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成され、米国大型株の株価動向を表す指数として広く認められています。
S&P500の産業セクター別構成比は以下の通りです。
生活必需品セクターはS&P500の構成銘柄の約5.81%を占めるセクターです。
生活必需品セクター
生活必需品セクターは、飲料・食品・家庭用品・パーソナルケア製品・タバコの製造メーカー、小売りスーパーなどの企業で構成されています。
<飲料品・食品メーカーの代表例>
ペプシコ、コカ・コーラ、モンデリーズインターナショナル
<家庭用品・パーソナルケア製品メーカーの代表例>
プロクター&ギャンブル(P&G)、エスティーローダー
<小売りスーパーの代表例>
ウォルマート、コストコホールセール
<タバコメーカーの代表例>
フィリップモリス、アルトリア
このセクターは、景気循環による影響を受けにくいため安定した事業をもつ大型企業が多いです。
XLPの特徴
XLPはS&P500に含まれる米大型企業の中から、生活必需品セクターに分類される企業を構成銘柄としたETFです。
特徴 | XLP(生活必需品セクターETF) |
発行元 | ステート・ストリート社 |
設定日 | 1998年12月 |
ベンチマーク | 生活必需品・セレクト・セクター指数 |
組入れ銘柄数 | 32銘柄 |
ファンド資産 | 約1,248億ドル |
経費率 | 0.12% |
直近配当利回り | 2.44% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-communication-services-select-sector-spdr-fund-xlp(21年9月25日公開データから引用)
XLPに含まれる企業の業種別構成比は以下の通りです。
パーソナルケアに分類されるのは、化粧品やスキンケア、ヘアケア、香水などを扱う企業です。
XLPは景気に左右されにくい業界から多様な企業が均等に分類されていることが特徴です。
XLPの構成銘柄
上位15銘柄のティッカーシンボルと構成比率をまとめました。
銘柄 | シンボル | 構成比率 | |
1 | プロクター&ギャンブル | PG | 16.13% |
2 | ペプシコ | PEP | 9.81% |
3 | コカ・コーラ | KO | 9.67% |
4 | ウォルマート | WMT | 9.40% |
5 | モンデリーズ・インターナショナル | MDLZ | 4.77% |
6 | フィリップモリス・インターナショナル | PM | 4.46% |
7 | コストコホールセール | COST | 4.44% |
8 | アルトリア・グループ | MO | 4.40% |
9 | エスティーローダー | EL | 4.18% |
10 | コルゲート・パルモリーブ | CL | 3.63% |
11 | キンバリー・クラーク | KMB | 2.52% |
12 | シスコ | SYY | 2.29% |
13 | ゼネラル・ミルズ | GIS | 2.05% |
14 | コンステレーション・ブランズ | STZ | 2.03% |
15 | モンスター・ビバレッジ | MNST | 1.96% |
引用元:https://www.ssga.com/us/en/intermediary/etfs/funds/the-real-estate-select-sector-spdr-fund-xlp(21年9月25日公開データから引用)
XLPを構成する上位15銘柄は、すべて個別株としても保有を検討できる優良銘柄です。
このような米国の大型優良銘柄を抽出してインデックス投資できることがXLPの最大の特徴です。
XLPの株価動向
XLPの長期株価チャートです。
XLPは景気の循環に左右されにくい銘柄で構成されているため、リーマンショックやコロナショックなどの経済危機に強いことが特徴です。
生活必需品は人が生活するために必ず必要となるため、生活が苦しくなっても支出を減らしにくい分野であるため、この分野の製品やサービスを扱う企業の売上高や利益は安定します。
また、事業が大きいほど原料や仕入れの価格が低くなるスケールメリットが出やすい分野ため、大企業であるほど競争力が強くなる傾向もあります。
このような事業環境から、XLPの株価は長期的に大きく上昇しており、長期投資に適した銘柄と言えます。
セクター別ETFの騰落率(2021年)
ステートストリート社から発行されているセクター別ETF11種の年初来騰落率を以下に示します。
セクター | ETF名 | 年初来騰落率 |
エネルギー | XLE | 34.09% |
金融 | XLF | 31.43% |
不動産 | XLRE | 29.76% |
通信サービス | XLC | 24.02% |
情報技術 | XLK | 22.53% |
ヘルスケア | XLV | 16.85% |
資本財 | XLI | 16.71% |
一般消費財 | XLY | 15.98% |
素材 | XLB | 13.07% |
公益事業 | XLU | 6.58% |
生活必需品 | XLP | 5.85% |
S&P500 | SPY | 20.37% |
※2021年9月24日終値の株価を元に年初来騰落率を算出
生活必需品セクターの年初来騰落率は+5.85%であり、S&P500を構成する全セクター中で一番パフォーマンスの悪いセクターでした。
これは2020年のコロナショック時に他のセクターは暴落していたのに対し、生活必需品セクターの値下がりは小さかったため、2021年の上昇率が低くなってしまったことが理由です。
2021年はXLPを購入して生活必需品セクターの投資比率を高める戦略が有効ではありませんでした。
しかし、生活必需品セクターの銘柄を保有するメリットは経済安定期から経済ショックが発生する時期となります。
2022年以降はワクチンが普及することでコロナ禍が収束し、経済安定期から次の経済ショックに向かうサイクルとなります。
つまり、これからの投資戦略として生活必需品セクターの投資比率を上げる戦略が有効となる可能性が高いと考えられます。
XLPは生活必需品セクターへの投資比率を高めたい方におすすめのETFです。
まとめ
XLPはS&P500インデックスに含まれる米国大型企業の中から、生活必需品セクターに分類される企業のみを構成銘柄としたETFであり、米国の生活必需品に関連する企業への投資比率を高めたい方におすすめのETFと言えます。
では!